思い出のオレンジ・エード

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今日、家に誰もいない。 正しくは明日の夜まではいないハズ。 兄弟はおろか姉妹もいないし、近所に親戚だっていない。 だから家に電話をかけたって、留守電を入れたって誰かの反応なんてあるわけがなかった。 ――――だから、あたしも連絡なんてしてない。 連絡をした“フリ”をしていただけ。 携帯を手に持っていた理由はたったそれだけの事。 連絡した所で、“あの人達”がどうにかしてくれる訳じゃないのは十分わかってる事だし。 「困ったわねー…熱も少し高めだし、保護者の方が迎えに来てくださるのが一番いい治療だと思うんだけど‥」 「これくらいの熱なら歩いて帰れます…あたし、平熱高いので」 だるくて頭痛もするけど、あたしは何でもない顔をして微笑んだ。 ここで1日を過ごす位なら、誰もいない自分の部屋で休みたいもの。 「そう?でももしかしたら熱が酷くなるかもしれないし‥保健室に直通の電話番号を教えとくからおうちに着いたら電話をくれる?」 ちょろいな‥と内心で思うとあたしはこくりと首を縦に振った。 早退届けを書いてもらうと、あたしはありがとうございました、と短く先生にお礼を言って保健室をあとにした。
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