思い出のオレンジ・エード

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毛布は濡れすぎてて使えないけど、段ボールは少し湿ってる程度。 ちょっとだけ布団代わりに使わせてもらおう。 無造作に置かれてた段ボールを一枚一枚退かして、なるべく大きめなモノを探す。 2枚ほど見つけて、それを地面に敷くと、あたしは横になった。 (ひんやりしてる――――気がする…気持ちいいかも) 熱のせいか、意識が朦朧としてきた。 心なしか強烈な眠気まで襲ってくる。 ━━━━寝たらたぶん死んじゃうよね。 よく極寒の中で寝ると死ぬって聞くけど、今まさにあたしはそんな状況な気がする。 別にいいかな、っていう考えが頭に浮かんだ。 家族はいないようなモノだし。 あたしがいなくなって悲しむ人‥いないだろうし。 ああ、何だか瞼が重たくなってきた。 “考える”っていう行動が面倒。 このまま寝てしまえ、とゆっくり目を閉じた時だった。 「にゃあー‥」 川の方から鳴き声が聴こえてきた。恐らく猫。 でもあたしは、寝る事を決め込んでいたから目を閉じたままで、姿を確認しようとはしなかった。 鳴き声が近付いてくる。 にゃあにゃあと続く声はまるで“助けて”って何度も訴えているような声だった。
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