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唐突に思い出して、あたしはタオルごと子猫を抱き上げるとさっきまで自分がいた場所まで戻ってきた。
ぐしょ濡れのカバンを開けてみると、パンも牛乳も無事みたいだった。
すごいや、奇跡。
「キミ、おなか減ってる?もし減ってるなら‥コレを進呈してあげよう」
よく考えたら、牛乳やパンの受け皿とかなかった。
でも子猫はあたしの言葉が理解したのか、にゃあっと元気な返事してきた。
子猫を下ろすと、あたしは牛乳のパックを開けた。
さすがにこのままあげるわけにはいかないから、試しに爪で掬ってみる。
案外、お皿代わりになったのでそのまま子猫の口元まで運んだ。
ペロペロと舐める勢いが凄くて、思わずあたしは笑った。
「おなかすいてたんだね‥なのにあんなに一生懸命鳴いて…お疲れ様」
空いてた左手で子猫の頭を撫でてあげた。
暫く何度か爪から牛乳を飲ませてあげると子猫は満腹になったのか、あたしの膝の上に乗ってきた。
どうやらなつかれたらしい。
「キミ、あたしのトコに来る?あんまりイイトコじゃないけど‥ご飯と寝床はあげるよ」
頭を撫でながら問いかけると、子猫はにゃぁと返事をしてくれた。
ちょっと嬉しい、かも。
「じゃあ今日から家族ね?」
子猫を抱っこして、あたしと向かい合わせる。
真っ白なのは体の部分だけだったみたい。
額から頭にかけて、黒い部分があった。
「よろしくね、相棒」
思わぬ仲間をゲット。
あたしはまた眠たくなってきて、子猫を抱きながら横になった。
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