思い出のオレンジ・エード

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「タマ‥ミケ……どんな名前がいい?」 横になってもさっきみたいな強烈な眠気はすぐに来なくて、あたしはずっと子猫に話しかけた。 どうやらこの子は雌猫みたい。 色んな名前が浮かんできて問いかけてはいるけど、子猫は小さく鳴くだけで、“これがいい”とは言ってくれなかった。 ――――当たり前か、猫が喋る訳ないもん。 「体調が良くなったらまた‥考えてあげるね?」 頭を撫でてあたしは微笑んだ。 ちょっと熱が上がってきたかも。 さっきよりもずっとぼーっとしてきちゃって、何も考えられなかった。 ━━━━あたしがいなくなったらこの子1人になっちゃう… また眠気が襲ってきた。 寝ちゃダメだ、って何とか瞼を頑張って開けるけど、欲には勝てなくてすぐに閉じかける。 頑張ってるのを悟ったのか、子猫があたしの頬をペロッと舐めてきた。 ちょっとだけ眠気が覚めたような気がする。 「帰ろっか、にゃんこさん」 雨足が弱まった訳じゃなかったけど、このまま寝ちゃったら子猫まで風邪をひかせちゃう。 あんまり乗り気じゃなかったけど、あたしはカバンを背負って子猫を抱っこすると再び激しい雨の中を走りだした。
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