序章『最後の任務』

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『馬鹿なっ!この私がドレイクの小僧っ子ごときに敗れるだと!?』 「おまえごとき竜化するまでもない。死にな」 ザクッという音を立ててハディートは八本足の醜い蜥蜴の眼に自分の半身-魔剣-を突き立てる 身の毛もよだつような断末魔とともにその怪物-バジリスク-が果てるのを眉根一つ動かさず無感情に見つめる 完全に死んだ事を確認すると証拠として首を切りとる 正直あまりいい気分ではない 別に戦いが嫌な訳ではないしましてこの眼帯トカゲを殺すことに罪悪感や慈悲等欠片も感じていない こいつに怨みがあるわけではないが他のドレイク種―誇り高き我ら竜人族―に漏れずハディートもバジリスクは嫌いだ 人族、動物、妖精、幻獣、魔神、そして同族であるはずのバルバロス… 成人して以来30年以上の間―ドレイクの1000年という寿命の中では短い時間だが―あらゆる勢力と兵として隊長として戦ってきた彼に今更殺生に対する躊躇などあるはずがない 「なんか気に入らねえ…」 毒の血液を拭き取りつつ忌ま忌ましげに自らの半身―魔剣―を睨む 魔剣…この世界に当たり前に存在する武器。魔力を帯びた武器全般を魔剣と呼びその形は必ずしも剣の形をしているとは限らない。槍や弓、斧に銃…中にはおよそ武器とした形を成していないものもあるのだとか。 この世界を作り上げたと言われる三本の“始まりの剣”を二枚舌のライフォスがルミエルを、バルバロスの祖であるダルクレム神がイグニスを手にし、神の階段を登ったと言われる そして神々の手により様々な魔剣がコピーされたと言われる。 第三世代以前の魔剣は強力な力を持ち神になる資格を与えると言われる。第四から第六世代の魔剣も強力な力を持つと言われる しかし今世界に出回ってる物のほとんどはちょっと腕に覚えのある職人なら誰でも作れる第九世代以降の物だ ハディートの魔剣には厳密な世代数はない。ドレイクの特殊な所は卵から産まれる時に何故か魔剣を抱えて世に出てくる事だ。
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