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目が熱い。我慢しなきゃ、人前で、泣きたくない…。
ノートに雫が落ちて、私の書いた文字が情けなく歪んだ。
「ほら、入れよ。母さーん、ただいまー!!」
震える手を引っ張って、玄関まで連れて行ってくれた。
はいはーい、と奥から声がして、彼に似た柔らかい眼差しの小柄な女性が現れた。
「ハルキ、ありがとう。
忘れちゃったかもしれないけれど、あなたが小さい時に家族ぐるみで何回か遊んだのよ。」
ハルキ、と呼ばれた人を見るとそうなんだぞ、という顔で頷く。
「アキ、だろ。懐かしいなぁ。
すっかりでっかくなっちゃって。」
知らない人が自分を知っているって、なんだかこそばゆくて落ち着かない…。
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