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俺の座っている隣には猫。
「…三毛猫か。パンの端くれでも食うかな」
(てか、喋った?そんなわけないよな~)
貴重なオスの三毛なんだにゃ
「おお、それは大変だ!…って大変だあぁぁぁぁ!!」
「んにゃー?」
「しゃ、喋ったあぁぁ」
驚きの叫び声が轟く。
「うーるさいにゃ。ちょっと猫が喋ったぐらいで」
「…あぁ、そうだな。今時ネコも喋るよな」
と、俯きながら呟く申人。
そして、現実を見つめた。
「そ、そんなに見つめられると…恥ずかしいにゃ…」
「うるせぇお前オスだろ」
無駄に恥じらいだネコ。
「まぁ、いいにゃ。わての名前はニ・ヤース。今日からお前にとりついてやるにゃ」
ネーミングセンス…
「にゃ…お前、今ネーミングセンスを疑ったにゃ」
「ばれたか」
「まぁ、わてもそれは感じていたんだにゃ。だから人間界ではトインネと名のってるにゃ」
「はじめっからそう名乗ればいいものをなぁ。まぁ、トイとでも呼ばせて頂こうかな」
こうして、不思議な喋るネコをなぜだか受け入れた申人。
錆び付いた歯車はギシギシ音をたてて、ゆっくりと廻り始める。
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