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家に上がった俺と洋子はリビングへ案内され、ソファに腰掛けた。向かい側には笹本が座る。
「早速ですが、秋子さんには付き合っている男性は居るんでしょうか?」
「今は居ません」
「今は、ということは、以前はいらっしゃったということですか?」
「はい。一年ほどでしたが……」
「では、その元彼の名前と住所を教えて頂けますか?」
「赤山(あかやま) 達彦(たつひこ)という名前です。住所は分かりません」
「有り難う御座います」
会釈する俺。
「洋子、行くぞ」
俺と洋子は笹本の家を出て、車に乗って役所に行き、そこで赤山 達彦の住所を教えてもらい、赤山の家に向かう。
赤山の家は練馬区の住宅街にあった。
俺がインターホンを鳴らすと、赤山 達彦が出て来た。
洋子が赤山に警察手帳を見せる。
「警察が何の用ですか?」
「笹本 秋子さんが殺害されました」
「何ですって!?」
「赤山さん、貴方、笹本さんと付き合っていたそうですね」
「ええ、少しの間……」
「別れる原因になったのは何でしょう?」
「秋子に他に好きな人が出来たんですよ。それで別れたんです」
「そうですか。では、昨夜の十時前後、どちらに居(お)られましたか?」
「刑事さん、まさか俺を疑ってるんですか?」
「いえ、形式的なもので……」
「その時間なら、俺はコンビニに買い物へ行ってました」
「それを証明することは出来ますか?」
赤山はポケットからコンビニのレシートを取り出す。
レシートには二十二時に買ったという記録が書かれている。
「有り難う御座います。では」
俺と洋子は車へと戻った。
「洋子、コンビニの防犯カメラの映像を見せてもらおう」
「分かった」
洋子が車を発進させ、俺たちはコンビニへとやってきた。
「いらっしゃいませ!」
洋子は店員に警察手帳を見せた。
「警視庁の荒川です。昨夜の防犯カメラの映像を見させて頂けませんか?」
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