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「あ、バレた?」
「やっぱそうなんだ」
「そんなことより捜査」
「何から始めればいいかしら?」
俺は九条に向く。
「九条さん、お住まいはどちらです?」
「北海道ですけど、何か?」
「本州にはどんなご用で?」
「旅行ですよ」
「その時、誰かとトラブルを起こしたとか?」
「ありませんよ、そんなこと」
「そうですか……」
犯人は間違いなくこの男。しかし証拠が無い。
「洋子、凶器がどこかに捨てられていないか探してきてくれ」
「分かったわ」
洋子は凶器を探しにいった。
「九条さん、聡美さんを殺害したのは貴方ですね?」
「なっ、何をバカな!」
「貴方は部屋で聡美さんを殺害後、部屋を出て自販機で缶ジュースを買って戻った。そして悲鳴をあげたんです」
「証拠はあるんですか!? 僕が殺したと言う決定的な証拠が!」
「残念ながら今はありません」
「憶測で人を犯人にするのか、警察ってのは!?」
「あ、僕は警察じゃありません。探偵です」
「どっちだっていいだろ! 兎に角、僕を犯人にしたければ証拠を持ってこい!」
「聡、あったわよ!」
洋子が凶器と思しきナイフを持って駆けてきた。
「この凶器に貴方の指紋がついてるか調べても構いませんか?」
「好きにしろ。どうせ僕の指紋は出ないさ。僕は殺してないんだからな」
「分かりました。ではそうさせていただきます」
俺は洋子を連れて部屋へ戻った。
「犯人、彼で間違いないの?」
「間違いない」
「でも彼、余裕そうだったわ」
「大方、手袋でもして犯行に及んだんだろう?」
「違ったらどうするのよ?」
「その時は探偵を辞めるよ。それより道警が来たら起こしてくれ」
俺はそう言うとベッドに横になった。
「……とし、聡!」
目を開けると、洋子の顔があった。
「道警が来たわ」
「凶器は?」
「渡したわ。今、鑑識が指紋を調べてる」
コンコンというノックの音とともに小太りの男が入ってきた。
「荒川さん、指紋は出ませんでした」
「手袋痕(こん)は?」
「ありました」
「有り難う御座います」
俺と洋子は部屋を出た。
九条が居ない……。
「洋子、九条さんは?」
「部屋よ。遺体も運んだからいいかなって思って」
俺と洋子は九条の部屋に入った。
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