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「香取さんの現住所を教えて頂けませんか?」
俺と洋子は香取の住所を教わり、その場所へと向かった。
ピンポンとインターホンを鳴らす。
「はい」
香取が出て来る。
「高柳 浩三さんを殺害したのは貴方ですね?」
「はあ? ちょっと待って下さい。いきなり何なんですか?」
洋子が香取に警察手帳を見せる。
「なっ……警察!? 何の用ですか?」
「佐山 敬一郎……貴方のお義兄(にい)さんですね」
「え?」
「佐山 敬一郎は高柳 浩三の評論により店を潰され、自殺をなさっています。貴方はその仕返しに高柳 浩三を毒殺したのです」
「何をバカなことを。第一、青酸カリはどこにあるんですか? 俺が犯人なら持ってる筈でしょ?」
その問いに俺はニヤリと笑みを浮かべた。
「何が可笑しいんですか?」
「どうして青酸カリだと?」
「しまっ……」
「もう遅いですよ、香取さん」
「そうさ。あんたの言うとおりさ。あいつが義兄さんを自殺に追いやったから殺してやったんだ! 青酸カリは姉さんが用意したものだ」
「そうですか。詳しい事情は署の方で。ご同行して頂けますね?」
「はい……」
俺と洋子は香取を車で苫小牧署まで連行した。
その後、香取は刑事の取り調べで犯行の全てを認め、逮捕され、姉の方も殺人幇助の罪で書類送検されたと言う。
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