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「そうだよ。お前、山田 徹を知ってるよな?」
『知ってるも何も、高校時代のクラスメイトだったじゃないか。旧姓、中沢』
「中沢 徹のこと?」
『ああ、そうだよ。新聞で読んだよ。殺されたんだってな』
「川島、今から会えないか?」
『今から? 別にいいけど』
「じゃあ、三時に練馬児童公園で」
『分かった』
「おう、待ってるからな」
そう言って俺は電話を切った。
「洋子も行く?」
「いや、私は仕事があるから本庁に戻るわ」
「分かった。じゃあ俺一人で」
俺はそう言って練馬署を後にて練馬児童公園に向かった。
練馬児童公園に着くと、川島が既に来ていた。
「よう、待った?」
「今来たところ」
「そうか。で、今は何してるんだ?」
「葛飾警察署に勤務してる」
「マジっすか!?」
「マジ」
「あ、それより、中沢のことなんだけど」
「何?」
「中沢と最後に会ったのはいつだ?」
「何でそんなことを聞くんだ?」
「実は俺、中沢殺した犯人に罪着せられて、それで真犯人を暴こうと思ってな。で、中沢と最後に会ったのはいつだ?」
「一昨日の夜、十時ごろかな」
「その時、怪しい人物とかは?」
「見てないな」
「そうか。悪いな、忙しい中会ってくれて」
「いいってことよ」
「じゃあ俺は帰るわ」
「ああ、じゃあな」
俺は川島と別れ、帰路に就いた。
黒沢探偵事務所。
俺は椅子に座り、今朝の新聞を見た。しかし、山田 徹の記事はどこにも無かった。
まさか川島が? だけど動機が分からない。
俺が新聞を畳んで机に置くと、ドアが開いて洋子が入ってきた。
「洋子、仕事だったんじゃ?」
「終わったから手伝いに来たの」
「そうか。よし、出掛けるぞ」
「どこ行くの?」
「川島の過去を洗い、にな」
「分かったわ」
俺と洋子は事務所を出るのだった。
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