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「あの、先程の様子からすると、何らかの事件が起こってると思うのですが?」
「ああ、実は遺体の身元が不明で困っていたんですよ。そこへあなた方が来たもんで……。それで、この人の名前は?」
「三上 雄一っす」
「彼は、雄一は殺されたんですか?」
「それは今調べてる最中です。それより、遺体の確認をお願いしてもよろしいでしょうか?」
俺たちは頷き、死体安置所に案内された。
刑事が遺体の顔に被せられた布を外す。
「雄一!」
洋子が遺体を見つめる。
嫌な予感は的中した。
「洋子……」
「一体、誰がこんなことを……」
「洋子、犯人捕まえよう」
「あの、あなた方は一体……?」
刑事の疑問に、洋子は警察手帳を出した。
「警視庁捜査一課の荒川です」
「これはご苦労様です」
「自分は探偵の黒沢です」
「どうして探偵が捜査を?」
「いや、自分は三上 雄一を捜してくれと荒川に依頼されたから捜してただけです」
「そうでしたか」
「それより遺体の発見場所は?」
「近くの空き地です」
「洋子、行こうか」
「うん」
俺と洋子は遺体の発見場所である空き地へと向かった。
「ここが現場か……」
府警の話では、雄一は腹部を刺されて死んでいたという。
現場には争った痕跡がないので、別の場所で殺されて運ばれてきたのだろうという見解だ。
「手掛かりになるものは……」
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