第1話:人捜し殺人事件

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 一応、現場を調べてみたが、めぼしいものは無かった。 「府警に戻ろう。最後に会った人を捜すんだ」 「そうね」  俺たちは府警に戻り、鑑識課を訪ねた。 「どんなご用でしょうか?」  鑑識課の人が質問する。  洋子は警察手帳を見せてから言った。 「警視庁の荒川です。三上 雄一の所持品を見せて貰えますか?」 「本庁の? ちょっと待ってて下さい」  職員は雄一の所持品を用意した。 「洋子、雄一って携帯持ってないの?」 「持ってないわ」 「それじゃ足取り追えないな」 「自宅の電話の通話記録調べてみるってのはどうかしら?」 「洋子、東京に戻ろう」 「うん」  俺と洋子は京都駅から新幹線で東京に戻り、雄一の自宅の電話の通話記録を調べるため、電話会社へと向かった。 「これが通話記録になります」  職員が通話記録を印刷した紙を渡してきた。  俺は通話記録の頭の電話番号に電話を掛けた。 『はい』  相手が応答する。女性だった。 「三上 雄一をご存知ですよね?」 『貴方、誰?』 「私は都内で探偵をやってる黒沢と申します。雄一さんのことでお話したいことがあるので今から会えませんか?」 『構いませんよ。どこで待ち合わせますか?』 「貴方のお家の住所を教えて頂けますか? これからお伺いしようと思います」  俺は女性から住所を聞いた。  電話を切り、洋子と共に女性の家に向かった。 ピンポン──とチャイムを鳴らすと、中から若い女性が出て来た。 「先程お電話した黒沢です」 「どうぞ」  俺たちは中に入り、リビングへ通された。 「話って何でしょうか?」 「実は雄一さんが京都で亡くなりましてね、それで真相を調べているんです」 「三上さん、殺されたんですか?」 「ええ」 「いつ?」 「半月前ほど前です」 「半月前と言ったら、私が三上さんと京都に行ったころですね」 「京都にはどのような」 「旅行です。あの日はホテルに泊まって、翌朝は三上さんが先に出ていかれました。何でも、誰かと会うというようなことを……」
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