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一応、現場を調べてみたが、めぼしいものは無かった。
「府警に戻ろう。最後に会った人を捜すんだ」
「そうね」
俺たちは府警に戻り、鑑識課を訪ねた。
「どんなご用でしょうか?」
鑑識課の人が質問する。
洋子は警察手帳を見せてから言った。
「警視庁の荒川です。三上 雄一の所持品を見せて貰えますか?」
「本庁の? ちょっと待ってて下さい」
職員は雄一の所持品を用意した。
「洋子、雄一って携帯持ってないの?」
「持ってないわ」
「それじゃ足取り追えないな」
「自宅の電話の通話記録調べてみるってのはどうかしら?」
「洋子、東京に戻ろう」
「うん」
俺と洋子は京都駅から新幹線で東京に戻り、雄一の自宅の電話の通話記録を調べるため、電話会社へと向かった。
「これが通話記録になります」
職員が通話記録を印刷した紙を渡してきた。
俺は通話記録の頭の電話番号に電話を掛けた。
『はい』
相手が応答する。女性だった。
「三上 雄一をご存知ですよね?」
『貴方、誰?』
「私は都内で探偵をやってる黒沢と申します。雄一さんのことでお話したいことがあるので今から会えませんか?」
『構いませんよ。どこで待ち合わせますか?』
「貴方のお家の住所を教えて頂けますか? これからお伺いしようと思います」
俺は女性から住所を聞いた。
電話を切り、洋子と共に女性の家に向かった。
ピンポン──とチャイムを鳴らすと、中から若い女性が出て来た。
「先程お電話した黒沢です」
「どうぞ」
俺たちは中に入り、リビングへ通された。
「話って何でしょうか?」
「実は雄一さんが京都で亡くなりましてね、それで真相を調べているんです」
「三上さん、殺されたんですか?」
「ええ」
「いつ?」
「半月前ほど前です」
「半月前と言ったら、私が三上さんと京都に行ったころですね」
「京都にはどのような」
「旅行です。あの日はホテルに泊まって、翌朝は三上さんが先に出ていかれました。何でも、誰かと会うというようなことを……」
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