第二章:自己紹介をしてみます。

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昔に何度か遭遇した天使を思い出してみた。 こちらが吸血鬼だと分かると、エルと同じように、まず捕縛の聖音を唱えてくる。だが、エルのようにいきなり唱えては来ない。天使なりに相手が本当に敵対している悪魔の同族かを確認し、正々堂々と宣戦布告をしてくるのだ。 それに、大概の天使はペアで行動している。片割れが聖音を詠唱している間に、もう片方が悪魔と対峙する。 ――それにしても、聖音とはもっと長ったらしいものだったような。 「おい、エ…エル!」 「あ?」 「貴様、聖音が短すぎはしないか?私の知っている聖音は、詠唱している間隙だらけとなる長い物のはずだが」 意外なことに、エルは無機質のような顔をあからさまにしかめた。「気の所為じゃねぇの」氷を噛み砕く音が派手に響く。 「っつーか、始祖ってつまり、始まりの存在なんだろ。お前はどうやって生まれたんだ」 「逆に聞くが、お前は自分が生まれたときのことを覚えているのか?まあ、当たり前だろうが私は覚えておらん」 「はぁ…我が主の気まぐれかねぇ」 「それにしても、貴様は天使としてどうなのだ」 「ん?」 「口は悪いわ話は聞かないわ聖音いきなり唱えるわ…さらに吸血鬼の始祖を僕扱いだぞ!?とんだ問題児だな!!」 「ストロベリーパイも頼むか?」 「…た、頼む」
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