第一章:天使に捕獲されました。

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「き、貴様!私をどうするつもりだ!」 もはや演技の必要もない。あどけないソプラノに不釣り合いな罵倒の言葉を投げつけた。が、男は顔色一つ変えもしない。 「おいこら悪魔」 「私は吸血鬼だ!!!高貴なる私に向かって何と言う言い草!」 「ナルシスト悪魔、お前なにしてんの」 「貴様に捕縛されているところだが!?」 「頭悪ィな、そうじゃねぇよ。下界に何の用だっつってんの」 「貴様に関係ないだろう」 「"神よ、万物の天秤よ!今ここに―」 「わ、わかった!!話せばいいんだろう!!普通に食事に来ただけだ!!!」 「人間を襲うつもりか、この下等生物め」 「貴様、吸血鬼の始祖たる私に――ッ!!」 「なんだ、お前結構偉いのか」 「え、偉いもなにも、私は代わりが効かぬ存在であるわけなのだから、貴様のような――」 「じゃあ殺すのやめてパシ…じゃなかった、僕にしてやるよ」 「…パシりより悪化してないか」 「神はそのような言葉をお嫌いになられるんだよ、ばーか」 「こいつ天使の癖に馬鹿とか言ったぞ!!!神とやらはそれでいいのか!?」 「命を救われたことを感謝しやがれ、ナルシスト悪魔」 「だから私は吸血鬼だと言っておろうが!!!」 こうして吸血鬼の始祖である私と、天使より悪魔に近い男は出会ったのであった。正しく表現すると、――天使に捕獲されました。
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