第二章:自己紹介をしてみます。

3/4
前へ
/110ページ
次へ
「ところで天使」 「どうしたチビ悪魔」 「私は吸血鬼だ!!…それはさておき、貴様何者だ」 「この辺りをパトロールしてたら迷子の悪魔を捕獲した心優しい天使様」 「天使にあるまじき嘘八百だな!!」 「チビ、名前は?悪魔呼びは目立って仕方がねェや」 「…貴様に名乗ることは実に不愉快だが。私はアンネリーゼ・フォン・ロザリンド、フォンは吸血鬼たる証、ロザリンドは言わば人間のファミリーネームにあたる」 「アンネリーゼか」 「…貴様は?勘違いするなよ、天使呼びはややこしいからだ!」 「あー……じゃあ、エルで」 「じゃあとはなんだ、じゃあとは」 「煩いぞ悪…いや、リズ」 「か、勝手に愛称で呼ぶな!!!」 「タルトでも食うか?」 「…リズ様と呼ばせてやらんこともない」 グレープフルーツソーダの氷をばりばりと噛み砕く、品のない天使―エル。天使の事情には詳しくないが、天使の名には基本的にエルが付くことぐらいは知っている。つまりこいつは正体を隠そうとごまかした訳だ。随分胡散臭い天使だな、運ばれてきたタルトにフォークを刺して考える。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加