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「ところで天使」
「どうしたチビ悪魔」
「私は吸血鬼だ!!…それはさておき、貴様何者だ」
「この辺りをパトロールしてたら迷子の悪魔を捕獲した心優しい天使様」
「天使にあるまじき嘘八百だな!!」
「チビ、名前は?悪魔呼びは目立って仕方がねェや」
「…貴様に名乗ることは実に不愉快だが。私はアンネリーゼ・フォン・ロザリンド、フォンは吸血鬼たる証、ロザリンドは言わば人間のファミリーネームにあたる」
「アンネリーゼか」
「…貴様は?勘違いするなよ、天使呼びはややこしいからだ!」
「あー……じゃあ、エルで」
「じゃあとはなんだ、じゃあとは」
「煩いぞ悪…いや、リズ」
「か、勝手に愛称で呼ぶな!!!」
「タルトでも食うか?」
「…リズ様と呼ばせてやらんこともない」
グレープフルーツソーダの氷をばりばりと噛み砕く、品のない天使―エル。天使の事情には詳しくないが、天使の名には基本的にエルが付くことぐらいは知っている。つまりこいつは正体を隠そうとごまかした訳だ。随分胡散臭い天使だな、運ばれてきたタルトにフォークを刺して考える。
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