禁書目録

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七月二十日 この全国の学生がハイテンションに陥る日の朝 いつもよりも早く目が覚めてしまった俺もそれは例外ではなかった 習慣となった煙草を吸いながらシャーペンをクルンと指で回し、手早く問題を解いていく エアコンのお陰で部屋は涼しくペンの動きを妨げるものは何もなかった ちなみに 昨日の夜帰ってきてからずっと机に向かいっぱなしである なので流石に空腹が限界に近づいている 出来ればすぐに何かを食したい だが、ここで席を立ってしまったら恐らく宿題をやる気がなくなってしまうだろう それに残るはあと数ページ 耐えて終わらせれば、残る一ヶ月間は自由に出来るのだ なら多少の苦痛は我慢しよう 「これで…終わりか」 放り投げるようにシャープペンを机に置き背凭れに思いっきり身体を倒す 固まった筋肉が久しぶりの運動に軽い悲鳴を上げ、骨もボキボキと鳴った 「眠いな…」 良い感じに眠気が襲ってくる このまま寝てしまおうかと思ったが、あと数時間もすれば約束の時間だ 寝ている時間はない 身体を起こしてキッチンに向かう 途中でリモコンを手に取りテレビを点けた ニュース番組が表示され、それを耳に入れながら冷蔵庫の中身を確かめる 卵が四個にベーコンが数枚 今日は洋食で済ますことにしよう そう決めて、マーガリンと卵とベーコンを取り出し慣れた手つきでフライパンに油をひき、火で温める 「当麻の分も作っといた方がいいか…?」 隣人も料理は出来るが思い立ったが吉日だ すぐに冷蔵庫から卵を追加で取り出し火の通ってきたフライパンに入れた 手早く綺麗に目玉焼きが焼けていく様子を見ながら、パンを二枚トースターに入れてスイッチを点ける 次に、完成まであと少しという目玉焼きにベーコンを乗せた ベーコンをカリカリに焼くタイミングだ その前に 「当麻を起こしとくか」 夏休みだからといってあまりダラけさせるわけにもいかない そう思い、玄関に向かおうとして 「ぎゃあああああああああああっ!!!」
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