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「松山様、何か悲しいことでもありましたか?」
「……」
――何故。
何故か。
バレた。
おかしい。
顔に出ていたか。
しかし、子供相手に感情を剥き出しにするほど、私は――。
ふわり、と首回りを何かに絡めとられた。
赤い布が目の端に見える。
眞守巳がしていた襟巻きを南龍にしたのだ。
寒いでしょう? 眞守巳が照れくそうに笑う。
「それに、これで雪の中でも松山様がすぐ見つかります! ねっ?」
子供らしく話す眞守巳を前に、南龍は力をなくした。何を考えている。
相手は子供だ。
子供は勘がいいと言うではないか。
やはり、要らぬものまで見抜かれたか。と南龍は襟巻きを無くし寒々しそうな眞守巳の腕を引いた。
「これでは眞守巳殿が寒かろう。……ほら」
「ふぇ?」
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