1ー 桜降る…

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今年もきれいに咲いたね、奥津城の桜。 ひとひら、ひとひらと 儚なげに散ってゆく。 ―――ねえあなた、 桜を見ながら、私はいつも思うの。 戦場で行方が消えたあなたを、誰もが『死んだ』と嘯くけれども そんな『戯言』なんて、私は絶対に信じたくないのです。 きっと生きて どこかで桜を見ていると信じたい。 ねえ、きっとそうですよね。 あなたの事だもの、絶対に生きていますとも。 だから、いつも奥津城に祈るのです。 あなたが、早く帰って来ますように。 いつか必ず、一緒に桜が見れる日が来ますように、と。
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