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瞼を閉じた時に感じる暗闇が、突然眩い白へと色を変えた。
その変化で、朝の訪れを知る。
眩しさに眉間に皺を寄せながら、暖かいベッドのシーツを顔まで引き上げる。
顔に直撃していた日の光が遮られ、またも闇へと色が戻った。
それに満足感を覚えつつも、ふと違和感を感じた。
いつもなら日が昇る頃に起こしに来る女中が、今朝はまだ来ていない。
中小ではあるが、仮にも貴族である屋敷の女中が、
子爵である自分を起こし忘れる等ということはあってはならない。
現に、今まで一度も無かったのだが、今朝は一体どうしたというのだろうか。
疑問に思い始めたら、眠気など飛んでしまい、
軽いシーツを捲り上げて上体を起こした。
頭を軽く降って覚醒させると、
日の光にさんさんと照らされているベッドから降りた。
素足のまま部屋の戸を開けて外を窺い見ると、
その回廊は不気味な程静まり返っていた。
普段なら、掃除や朝食の準備に勤しむ女中達の姿が見受けられるのに、
今朝はそれが全くない。
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