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びくっと大きく跳ねる肩を抱いて、その背中を胸元へと抱き寄せた。 「っ、誰、だ……!」 「アイリス、落ち着いて聞いてね。 この屋敷の住人は、皆何者かに連れ去られた」 「……う、そ……だろ…?」 「…その目で確認したでしょ。誰もいないこと」 二度と思い出したくもない、不気味で哀しい、独りの朝。 それは、この屋敷の一人息子、アイリス・ダングルベールが15の時の春の事だった。
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