第一章 空虚の楽園

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このエルロンドという大帝国では、義務教育は一六歳までと定められている。 アイリス達の暮らすキーシャという城下町も、その例に漏れず…なのだが、 聡いアイリスは、一六ではまだ旅に出ることは危険だと判断したのである。 そこで必要な条件が揃った今、エマニュエルに提案したというのである。 「…勿論、君のことだからあ、気楽な二人旅…っていう訳じゃないんでしょお?」 「ああ。母上を、探し出したいと思ってる」 一応キーシャにも、警察と同じ働きをするジャスティスという組織が存在する。 当然母親の失踪を届け出たものの、手掛かりが少なすぎるとのことでろくに取り合って貰えなかったのである。 そこでアイリスは、自らの手で探し出すことを決意した。 「恐らく、お前が居なくては掛かる年月も苦労も倍以上になると思う。 出来るなら同伴を頼みたいが、何しろ規模が大きすぎる。 それこそ雲を掴むような話だし、見つかるかどうかすら分からない。 だから、お前自身で決めてほしい。無理強いはしない」
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