2人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
いったいこんな現象になんの意味があると言うのか。
厳密にはないのだろうが、いかんせん、生きていくための通過儀礼とでも言えばいいのか。
端的には興味のない事例だけれど、しかしてそうは親が、先日卒業した出身校の教師が許してはくれない。
なんだって高々高校に入学する程度でこんなに面倒な思いをしなければならないのか。
けどまあ、三年間程度の暇潰しにはなるだろうことは期待してもいいだろう。
現在は長たらしくて面倒な入学式を終えて教室に移動し、クラスメイトになる40人の生徒がそれぞれ自己紹介している。
そろそろあたしの番ではあるのだけど、さて、どう自己紹介したものだろう?
まあ、特徴のない女として認識してもらうとして、シンプルにいこう。
そして、あたしの番が回ってきた。
あたしは椅子から腰をあげると、頭を軽く下げた。
「牛金中学出身の小鳥遊梓です。見ての通りにちびっこいですけど、宜しくお願いします」
そしてもう一度頭を下げて着席した。
着席した段階で、ついさっきシンプルにと思っていたはずなのに、チビという特徴を暴露してしまった。
まあ、言ってしまったことは悔やんだところで仕方がない。
事実、あたしは身長が145センチの超小柄な体格で、見た目からしてすでに幼い。
髪はとりあえず伸ばしてはいるけど、理由は切るのが面倒で、後ろでポニーテールでまとめているだけ。
スタイルも身長に沿って幼く、胸に至っては起伏に乏しい。
性格は愛想が悪く、滅多なことでは感情が反応しない。
それから、自身のことはどうでもよくて、あたしは自分の為になにかをする意味がわからない。
そして極めつけは、恥の概念の希薄さだ。
いや、少し語弊があるか。
実際は普通の人とは恥を感じる観点が違うだけだ。
まあ、言うなれば何が普通なのかは非常に曖昧で線引きも何もありはしないけれど。
最初のコメントを投稿しよう!