涙泪

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部屋をノックする音が耳に入る。 そういえば、鍵を閉めていたな。 あたしはノロノロと身を起こすと、ドアの鍵をはずして開け放つ。 そこには叔母さんが立っていた。 「あらあら、すごい顔。浩平くんと喧嘩したのかしら」 「…まあ、そんなとこです」 「珍しく当番サボるからどうしたのかと思ったけど…、うん。大丈夫そうね」 「すいません、迷惑かけて」 叔母さんはあたしの頭に手をのせると、優しくなでながら話す。 「家族に遠慮しないの。それにしても、ここに来たときより、明るくなったわね、梓ちゃん」 そうなのだろうか。 いまいちあたしには解らないけど、客観的にしか解らないところもあると、進藤が言っていたことを思いだし、そうなのだろうと、思えた。 そうだとすれば、あの高校に入学してからが、あたしの変わる一歩となり得たと思う。 「さ、お風呂に入っちゃいなさい」 「……今は男の門下生が入ってるでしょう」 「あら、そうだったかしら?」 などと、とぼける叔母さんは、笑いながらあたしの部屋をあとにした。 ベッドに投げ出して放置していた携帯を見てみると、彩未からの着信が来ており、時間をみれば、あたしが浩平にキスされてキレていたころだ。 ………余計なことを思い出して恥ずかしくなってしまった。 …ん?恥ずかしい?このあたしが? けど、まあ、これがあたしの変化なのだろう。 リコールしてみると、すこし間をおいて彩未が出た。 「どうした。なんか用だったか?」 「いやー、誰かさんが森下について余計なことをいってくれるものだから、意識して仕方なくなりましてねー」
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