夏休み

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あの胸くそ悪い春の出来事から二ヶ月と半月が経過して、いよいよ今日から学生のパラダイスである夏休みが始まった。 昨日の終業式のあと、クラスの女子どもはやれショッピングだ、海水浴だとはしゃいでいたのだが、たかが高校生の足で海なんぞ行ったところで、遊ぶ暇なしで帰宅するのは目に見えている。 あたしはと言えば、宿題に里帰り、家の手伝いくらいで、とくにこれといった用事はない。 里帰りに関しては、単純に実家に顔を出すだけで母親と飯を食うだけ。 本当なら顔も見たくないのだけど、こればかりは叔母さんからの指示だ、逆らうわけにもいかない。 そして、夏休みの初日である今日は、野郎共を放置して、女だけで騒ごうと彩未が提案し、あたしがよくつるんでいるメンバーの彩未、麻奈、進藤、真弓と遊ぶこととなっている。 ちなみに、あたしの部屋で。 催しとしては夏休みの初日特有の妙なテンションを遺憾なく発揮して、夜通し遊ぶと言うことで、パジャマパーティーを開催することとなっていた。 あたしとしては夜はしっかりと眠りたいものだけれど、たまにはバカなことにも参加するのも悪くない。 あたしもこの数ヵ月ですっかりと丸くなってしまった。 どうせ丸くなるならもう少し肉付きがよくならないものだろうか。 痩せすぎていて、自分で気味が悪い。 とかなんとか、バカで不毛なことを考えていれば、あと数分もすれば誰かしらが来るだろう。 ちなみに同居中の真弓は、すでにあたしの部屋でくつろいでおり、あたしのもつ数少ない漫画本を読んでは笑いころげている。 「おい、いつまで笑ってんだ。いい加減に片付けろよ。もう少しで彩未達がくるんだからさ」 「ほいほーい。……あーちゃんがスカートなんて珍しいね」 普段はデニム系のパンツ派であるあたしだが、今日は珍しく膝までの丈のスカートだ。 「この間、進藤と買い物に行ってな。見立ててもらったんだよ。あいつ、勝手にあたしをライバル視してて、ライバルにはかわいくあってほしいんだと」 「へえー。でも可愛いね、それ。進藤さんってセンスいいんだね」 まあ、たしかに。 さすがはいいところのお嬢様といったところだ。 服装に関してはエレガントかつ、優美で控えめなセレクトをしており、派手嫌いなあたしでも嫌悪なしで着用できる。
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