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どうやら、あたしと同じ感想を抱いたのは麻奈を除いた全員のようだった。
しかも、それなりに複雑に絡んでいる分、気が重くてやまない。
まず、あたしと可憐の場合だけと、これは単純だ。
まず、あたしはその手のことに興味がわかない。けど、浩平はキスをする程にあたしが好きで、そして、可憐は浩平に絶賛片想い中。
真弓の場合は、そもそも男に微塵の興味すらなく、それを隠す気もない。
さらには大胆にもあたしに絶賛求愛中と来ているので、なかなかどうして笑えない。
そして、彩未。
こいつの場合は修平に片想いをしているのだが、如何せん身内だ。
最初はかったるいと思っていたのだが、よくよく考えたら、今の時勢となっても身内同士の恋愛というものは何かと気を使うものらしく、そこはそれ、頑張れとしか言えない。
「ところで、麻奈の彼氏ってどんなやつなんだ?」
ちょっとした腹いせに聞き出してみる。
「えっとね、何て言うのかな。イケメンとかじゃないんだけど、なんか可愛いの。あ、年下で今は中学三年。小生意気なんだけど、素直でいい子だよ」
と、恥ずかしげもなく、かといって自慢するでもなく、ただ単調に彼氏の特徴を説明した。
というか、年下か。
いまいちピンと来ない。
まあ、あたしの場合は大抵の男ならあたしの方が年下に見えるだろう。
………少しでいいから伸びないかな。
真弓ほどとは言わないから、せめて麻奈くらいまで。
「ねね、どこまでしたの!?ABCのどれ?」
と、さすがこの手の会話が大好物の彩未だ、食い付きが早かった。
というか、ABCで質問かよ。
んなもん、14、5歳のガキの恋愛なんだ、やっててAまでだろうが。
BやらCはいくらなんても早すぎるだろ。
「手を繋ぐ程度かな。何て言うか、彼氏の誕生日が来月でね、その時にしよっかなって」
なんともまあ、大胆なプレゼントだことで。
……けど、なんかいいかもしれない。
ん?なんだか、この手の会話に飲まれていってるような気がする。
なんだってんだ、この乙女コスモは。
「で、あーちゃんはこーくんと―」
「てめえ、それ以上言ったら絶交だからな」
と、少なからずの怒気を込めて、真弓を睨んでやった。
すると、真弓はすくんだが、今度は可憐が食って掛かってくる。
「あの、今の続きは…?話の流れからして、並々ならぬ事かと思うのですが…?」
うーむ、どうごまかしたものだろうか。
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