夏休み

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それからは可憐からの追求を適当にあしらってはいたのだけど、これがなかなか骨がおれる。 なんともまあ、女の嫉妬は怖いということか。 「でもさー、女の子は早熟とか言われるけど、男の子ってどうなんだろうね?」 それはたしかに言われたりはあるな。 テレビや雑誌なんかでも、男目線より女目線の特集も多く、十代女を意識した特集などにしては、少し首をかしげる内容となっていることもままある。 少女漫画なんかも、男が読むような少年誌では下着ですらNGだったりするのだが、少女漫画では下着どころか性交渉のシーンまでも描かれていたりするのだ。 いくらなんでも、こればかりは酷いとしかいいようがない。 というか、早熟とかなんとか言う前にその手の漫画のひどさを是正しろよ、漫画業界のお偉方。 べつにエロ本だとか、少女漫画にエロシーンだとか気にしないけど、男の方の規制が酷いだろうが。 「さあな。少なくとも、環境によるんじゃないのか?あたしなんかはその手の知識とかはたしかにあるけど、それを実践しようなんざ、思ってもみないし」 「そうですね。漫画なんかでそういうのは見ますけど、同じ年代の男の子が読むもので、その手の描写はなかなか見ませんね。……多少、ひどいネタもありますけど」 まあ、男の方はエロは生々しさよりも理想を追求したものが多いと聞くからな。 …そういや、何かの本で少女漫画に性描写が多いのは子孫繁栄に繋げるためだとか。 そんな馬鹿な話があるか。 あたしはそんなことを考えながら、彩未が注いでくれたコーラを飲む。 喉に刺さるかのような強烈な炭酸が刺激を加え、炭酸が苦手なあたしは、つい涙目になる。 「あ、あーちゃん可愛い」 こいつ、マジでどうにかしないとあたしの貞操が本当に危険だ。 「お茶にしとけばよかったかな?」 と、彩未は心配そうにあたしを気遣っていた。 だから、あたしに対しての気遣いは無用だというのに。 まあ、こいつらともそこそこまでに気心はしれているのだから、苛立つこともさしてないから良いのだけど。 「いや、大丈夫だ。浩平の奴、なんだってこんなもんが好きなんだ?」 浩平は強い炭酸が好きなようで、よくジンジャーエールやコーラ、ファンタなんかを飲んでいる。
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