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「私は炭酸好きだよー。暑いときに飲んだらスッキリするしね」
と、麻奈は嬉々として語っていた。
そういえば、ここに並んでる清涼飲料の類は全て麻奈が待ってきたものだったな。
「あーちゃんはコーヒーとかばっかだもんね」
「そういえばそうだね。学校でもコーヒーかお茶だし」
「甘いのは苦手だな。糖質は取るようにしてるんだが、どうも不足ぎみでな。午前中は考えがだるい」
あたしの糖分補給のしかたといえば、飴玉やスポーツ飲料等。
手っ取り早く糖分を吸収しようと思うならやはりコーラなんかがいいのだけど、甘いのは我慢できるが、炭酸はどうしても駄目なのだ。
「甘いの嫌いな子って珍しいね」
「そうか?まあ、けど、あたしはたしかに甘さより苦さだな。ゴーヤなんか好きだぞ」
昔、沖縄に旅行へ行ったさいに食べたゴーヤチャンプルが美味しくて、ゴーヤが好きになったほどだ。
父さんには変わった味覚だといわれてしまったが、あたし的にはあの苦味はとても好ましい。
「ゴーヤは私も好きです。私はあれをスライスして、ポテトチップスみたいにして食べますね」
「つまみかよ」
すかさず突っ込みをいれてしまった。
けど、前々から思っていたのだけど、可憐のやつ、味覚が少しおやじくさくないだろうか。
この間は彩未が食べてたあたりめを少しもらって美味しいと言っていたし、さきいかも好きらしいからな。
「やはり、そうでしょうか?」
と、さすがにそこは乙女。
自分の味覚が他とずれていることには戸惑ってしまうのだろう。
たしかに、元々思春期の女子と言うものは群れたがるものだし。
………最近ではあたしもその仲間入りを果たしたわけだが。
「気にすることねえよ。甘いのが嫌いな女だっているんだ、味覚が他と違う程度で落ち込むなよ」
「そーそー。女の子が好きな女の子だっているんだからさ」
「お前は少し自重することを覚えやがれ」
「私の辞書はメモリオーバーですよーだ」
なんて都合のいいメモリオーバーだろうか。
案外、強く頭を叩いたら脳みそが揺れて正常な感性になるんじゃないだろうか。
いずれ試して見る価値はありそうだな。
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