序章【英雄の凱旋】

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「撃て!」 PKPが薬莢を左側に撒き散らす。撃っている小柄な男は、まるでM16を連射する様に反動を押さえ込む――腕の筋肉は袖で隠れているが、多分凄いことになっているだろう。 「うひょー…熱ッ!」 左隣に居たそっくりさんの胸元に薬莢が舞い込み、慌てて払い落とす。彼の方は反動の制御が上手くなく、AK-74Mですら反抗期を見せていた。 「当たったか?」 訊かれて答える童顔少年はすっかりSVDが板に付いていた。射撃の度に銃身は跳ね上がるが、それでも仕事は果たしている。特に300mから500m先の敵には効果的だ。 「当たったよ」 答えられた短髪の少年もまた、AK-74Mが似合って来た。当たっているかは、よく判らない。 そもそも大勢で撃っているのに誰が殺したのか判る方が珍しい。
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