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このままいくと殴られると今までの苛められ経験が警報を鳴らす。
仕方なく俺はポケットから財布を室町に渡した。
無くさないようにと親が誕生日プレゼントとして買ってくれた財布だったがお金は虚しく消えていっている。
「おう悪いな」
そう言って室町は財布から3千円抜き取ると小走りに去っていった。
周りの生徒たちは空の財布を投げられた俺を自分でなくて良かったというような視線で見ていた。
また金をとられてしまった。
親に何といってごまかそうか。
うちの親は少し心配症ですぐにいじめだ何だとと言いだしてしまう。
それが最近的外れで無くなってきているのが逆に俺を苦しめていた。
親が学校に相談に来てしまうようなことがあれば、少なくとも絶対にホームルームでそのようなニュアンスの話がでる。
それが非常にまずい。
室町はいじめの天才という異名を持つ男だ。
そんな男がそういう話を聞き逃すはずがない。
必ず誰かの親が学校に相談に来たと思うだろう。
そこで真っ先に疑われるのは俺だ。
考え過ぎかもしれないが俺はこれ以上いじめがエスカレートしてほしくない。
親にも相談という中途半端な形で学校に来てほしくなかった。
俺には今友達はいない。
友達だった奴も室町の手下になったり関わりたくないとどこかに行ってしまった。
つまりこの教室で俺の見方はゼロ何か室町の機嫌を損ねるようなことをすればそれは即座に俺に跳ね返ってくる。
嫌なことに3倍くらいに膨れ上がって。
はあっと深いため息をついたあと俺は死ねと書かれている自分の机に座って寝ることにした。
苛められた後の傷はこうして癒やすに限る。
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