教室

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「へえ珍しいなこんなに暗い高校生がいるなんて」 教室の騒がしさが嘘のように静まり返って変わりに低い男性の声が響くように聞こえてきた。 目を閉じているため見えないが人が立っているというような気配は全くなかった。 苛められている人間は気配に敏感なのに関わらずだ。 「探せばいるもんなんだなこういう奴も」 声は嬉しそうに笑うと聞こえなくなった。 教室の騒がしさがまた何事もなかったかのように聞こえてきた。 気を取り直して俺は傷をいやすことに専念する事にする。 どんなに苛められることに慣れていても人間は傷つく時は絶対傷つく。 むしろ苛められることに慣れがあるからこそ余計に傷が深く入るのかもしれない。
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