Gimmickへご招待

7/7
前へ
/42ページ
次へ
「れーん!!かっこよかったよ!!」 沈黙を破って蓮に駆け寄ってきたのは純吾だった。 無事を確かめるように、ベタベタと蓮の体に触れる。 「ったく、大袈裟だっての。俺は何ともねぇよ。」 「心配したんだからな!でも男らしくてかっこよかった!惚れ直したよ蓮!」 パチパチと満面の笑みで手を叩く純吾。 それに便乗して店内のお客さんまで、パチパチと拍手をしてくれた。 「……え、ちょ…」 それに驚いて、蓮はキョロキョロと辺りを見渡す。 沈黙も嫌だけど、この盛り上がりも慣れない。 「…じゅ、純吾、帰るぞ…っ」 気恥ずかしくて俺は純吾を引っ張って店から出ようとした。 そこにすかさず、オーナーの声が飛んでくる。 蓮は首を傾げて振り返った。 「助けていただいたお礼をしたいので、バックルームの方へどうぞ。」 「い、いや!大丈夫ですって!!」 「…それでは私たちの気が済みません。お顔も濡れてますし。」 微笑みを浮かべたオーナーに俺は苦笑いを返した。 "どうぞ"とバックルームの方向へ指し示す手に、抵抗する理由もない。 俺は素直に従うことにした。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加