73人が本棚に入れています
本棚に追加
「れーん!!かっこよかったよ!!」
沈黙を破って蓮に駆け寄ってきたのは純吾だった。
無事を確かめるように、ベタベタと蓮の体に触れる。
「ったく、大袈裟だっての。俺は何ともねぇよ。」
「心配したんだからな!でも男らしくてかっこよかった!惚れ直したよ蓮!」
パチパチと満面の笑みで手を叩く純吾。
それに便乗して店内のお客さんまで、パチパチと拍手をしてくれた。
「……え、ちょ…」
それに驚いて、蓮はキョロキョロと辺りを見渡す。
沈黙も嫌だけど、この盛り上がりも慣れない。
「…じゅ、純吾、帰るぞ…っ」
気恥ずかしくて俺は純吾を引っ張って店から出ようとした。
そこにすかさず、オーナーの声が飛んでくる。
蓮は首を傾げて振り返った。
「助けていただいたお礼をしたいので、バックルームの方へどうぞ。」
「い、いや!大丈夫ですって!!」
「…それでは私たちの気が済みません。お顔も濡れてますし。」
微笑みを浮かべたオーナーに俺は苦笑いを返した。
"どうぞ"とバックルームの方向へ指し示す手に、抵抗する理由もない。
俺は素直に従うことにした。
最初のコメントを投稿しよう!