ファーストキス

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「確かに人員募集してるし、面接受けに来る人もいるんだけど…正直、容姿が優れない子ばかりでねぇ…。」 「は、はぁ…。」 「ほら、見ての通り俺たちイケメンじゃん?ここの採用条件、一応イケメンっていうのが一番重要だからさ。」 …この人、自分でイケメンって言ったよ。 顔を引きつらせながら葵を見つめる蓮。 しかし否定できないのも事実ではある。 「そこでだ。君と同じ学校に通ってるスタッフに聞いてみたんだ。学校一のイケメンは誰だ、てね。」 「…そ、それで?」 「みんな口を揃えて言ったよ。2年の赤里蓮だってね。」 …マ、マジ………。 "ね、千歳?"と葵が千歳に話を振った。 千歳はバツが悪そうにコクリと頷いた。 「…もしかして、アンタ俺と同じ学校…?」 「は、はい。僕は1年です…。」 …てことは、俺の後輩かよ。 蓮はがっくりと肩を落とした。 生徒数は軽く1000人を越えるマンモス校だってのに、どうして俺の名前を覚えてられるんだ。 心中で悪態づくも鈍感な蓮にはその理由が全くわからなかった。 うなだれる蓮の顔を両手でむぎゅっと包んだ葵。 何するんだ、と言わんばかりに蓮は思い切り葵を睨んだ。
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