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「みんなが口を揃えるだけあるよね~。こんな美形見たことないもん。ね、Gimmick入ろうよ!」
…顔が近いっての!
顔が赤くなるのを隠すように蓮は力ずくで葵の手を剥がし距離を取った。
「…悪いけど俺、ここで働くつもりはないんで。なんていうか…俺、こういう仕事向いてないと思うし。」
出来るだけ冷静に反撃を与える隙がないようにきっぱり言葉にしてやった。
…とりあえず面倒な気がする。
こういう事ははっきり強く言うのがいい。
平凡を愛する俺だぞ、これ以上面倒事に巻き込まれるのは御免だ。
「…うーん、けっこう特典あるんだけどなぁ。」
「…特典?」
しかし、葵にとっても蓮は逃がしたくない獲物なのだ。
靡かせようと言葉巧みに誘惑する。
「まずは時給がいい。なんと1500円!!」
「せ、せんごひゃく!?」
なんだと!?
目の前にあるあまりにもおいしい話に、蓮は目を丸くして固まった。
学校終わりに5時間働けば7500円。
それが週3回だとしたら…
7500×3=22500!?
「…………、」
俺、今までにないくらいの速さで頭を回転させたかもしれない。
しめしめ、もう一押しか?
葵は蓮の様子に厭らしく口角をあげた。
迷っている蓮にさらに葵が追い打ちをかける。
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