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「…っはー!うめぇ。」
思わず親父臭い一言が出た。
こんなに牛乳飲んでんのにちっとも身長が伸びないのはどういうわけなんだ。
首を傾げつつ文句を心中でぶちまけながら純吾の方へと歩み寄る。
「キャンディーもおいしいのになぁ~。」
純吾が小言を吐きながら口内にキャンディーを放り込んだ。
「んん~やっぱグレープ味最高!グレープ味はキスの味ってね!」
「ぶふ―――――――――――っっ!!!」
「うぇぇぇぇ!!??ちょ、蓮!?」
盛大に牛乳を吹いた。
人生で初めてかもしれない、こんな綺麗に液体を吹き出したの。
「…お前が変なこと言うからだ!!」
大体、グレープ味がキスの味なんて聞いたことないっつーの!!
畜生!せっかくキスのこと忘れてたのにっ!
「え、俺変なこと言った?」
純吾のまるで悪気がない態度に若干苛つきながら、側にあったぞうきんに手を伸ばす。
てか、悪気とか言う前に、純吾は何も考えず素で言ってるからな。
そしてキスという単語に過剰反応してる自分が、激しく恥ずかしかった。
あの瞬間、葵さんにキスをされた瞬間を思い出す。
「――……ッ」
生々しいその感触は、微かに自分の唇に残っていて、顔が赤くなるのを感じた。
そもそも、あんな無理矢理なキスあるかよ!!
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