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「B組の担任が諸事情で退職するらしい。花束代としてA組からも一人、500円集金してる。」
"さっさとよこせ"と手を出す久吉に蓮は表情を歪めた。
今月、お金ピンチだってのに…。
B組の担任なんだからA組からわざわざとらなくたって…。
…いけね、こういう考えはよくないな。
蓮は渋々、財布を取りだした。
「……げ。」
財布の中身を見て思わず声が出た。
見事に500円玉が一枚。
今、500円払えば、俺は今月無一文で過ごすのか?
「おい、早くしろ。」
「………。」
"蓮、大丈夫か~?"と俺を心配する純吾の声がする。
「…500円もないのか、無一文。」
「む、無一文って言うな!」
久吉の言葉にムキになって俺は乱暴に500円玉を久吉の手に預けた。
"まずは時給がいい。なんと1500円だから!"
"金欠な高校生にはもってこいだと思うけどなぁ…"
葵さんの言葉が痛いぐらい頭の中でループする。
別にプライドとお金を天秤にかけるわけじゃないけど…。
「畜生…。」
さらば、俺の愛する平凡。
「…っちくしょ―――――――ッ!!!!」
「うわっどうしたの蓮ッ」
「うるさいな、いきなり叫ぶな。この無一文。」
「無一文って言うなぁぁぁぁっ!!!」
決めた!
俺はGimmickのウェイターになる!!
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