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「おおお驚かせんじゃねーよ。別に何でもないっての。」
「…あっそ。隣、いいか?」
「あ、あぁ。座れよ。」
心臓がバクバクいってる。
久吉は大して気にすることなく俺の隣に腰をおろした。
やべ、カレー冷めちまってる。早く食べねぇと。
「で、さっき何を隠したんだ?」
――ガチャンガチャン!
「…見せろ。」
見破られてる!
あからさまに動揺して食器の音を盛大に響かせてしまった。
俺の背中に挟んである雑誌を取ろうと手を伸ばす久吉に必死に抵抗。
「いやいや、別に何でもない!何も隠してない!」
「隠してるだろうが!大体何でもないなら見せても問題ないだろう!」
「だから、何でもないから見せなくても問題ないだろ―……あ!!」
するりと雑誌を取られ久吉の手の中へ。
丁度よく例のGimmick特集のページが目の前で開かれてしまった。
久吉は自分とよく似ているそのイケメンウェイターを無言で凝視している。
「「………。」」
やばいやばいやばい、めちゃめちゃ固まってるじゃねーか。
俺と純吾は冷や冷やしながらずっと俯いていた。
「…最近、俺の噂が立ってるって聞いたが、これのことか。」
「…え、」
久吉はくだらなそうに雑誌を閉じて自分の昼食に手をつけだした。
俺と純吾は首を傾げて久吉を見やる。
「…俺はこんなとこでバイトしてる暇なんてない。」
サラッと言った久吉にようやく安堵の息を吐き出した。
「…はは、ははっそーだよな!久吉がまさかGimmickでバイトするわけないよな。だってお前愛想振りまけるわけないし!逆にお客さん怖がって逃げそうだもんな!」
「…殺されたいのか、赤里。」
そうだよ、そうだ!
久吉がGimmickの涼介なわけない!
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