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放課後、掃除当番だった蓮は掃除を済ませて教室へと戻ってきた。
「純~吾~、帰ろうぜー。」
あとは帰るだけ、気分上々で教室へ入ったが妙な雰囲気に蓮は立ち止まった。
クラスの奴らが窓に張り付いている。
その中には純吾もいた。
何してんだこいつら。
中には野郎のくせに頬赤らめてる奴もいるし。
「おい、純吾。どうしたんだよ?」
「え?あぁ、アレ…。」
純吾がアレと指をさす。
俺はそれを辿るように窓の外を見た。
瞬間、俺も窓に張り付いた。
「……なんで!?」
見えたのは、見覚えのある軽トラと金髪が眩しい男の人。
校門に立ってるあの人、俺の知る限り一人しかいない!
そう、あれは間違いなく綾瀬葵である。
どうしてここまで来たのか理由はわからないが、自分絡みだという事には気付いていた。
「悪ぃ!純吾、先帰ってて!」
「あ、蓮!!」
見向きもせずに純吾に言い放つと、俺は鞄を勢い良く掴み教室を出ていった。
バタバタと騒がしい足音を立てて廊下を走り抜ける蓮に、すれ違う生徒たちは驚いて振り返る。
先生に見つかれば"廊下を走るな!"と即行で怒鳴られそうだ。
慌てて外履きに靴を履き替え、玄関を飛び出す。
葵さんの待つ校門へと全速力で一直線。
やがて俺の姿に気付いた葵さんは、校門に預けていた体を離し笑顔を見せた。
はぁはぁと息を切らして葵さんに歩み寄る。
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