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「言わなくてもわかる!俺は興味ないんだよ!一人で行け!」
「ヒドいよ、蓮!どうせ暇だろ!?」
「どうせって何だ、どうせって!」
二人の言い合いが教室に響く。
その光景に周りはどうしたものかと視線を送るが、二人の口争いはヒートアップ。
蓮にとって一日の中で大切な時間は放課後である。
放課後はいち早く帰り、ゆっくりしていたいのが本音なのだ。
「いいもんいいもん…。男一人でGimmickに行ってイケメンにウハウハしてるもん。」
「ちょ…純吾?」
そう、純吾は真性のゲイだ。
二人の通う学校は男子校の為、そういうのも少なくはない。
驚きもしなければ、珍しいことでもないのだ。
気持ち悪いとも思わない。
世の中の考えがどうかは知らないが、恋愛感情は相手が男だろうが女だろうが同じだと思う。
蓮はそういう考えな為、簡単に純吾を受け入れることができた。
「怪しい奴だって思われて警察に捕まっても知らないからね!」
「…おいおい、大袈裟だろー…。」
「事情聞かれたら全部蓮の所為だって―…」
「あー!!わかった!一緒に行ってやる!行けばいいんだろ!?」
「わぁ~!ありがとう!優しいね、蓮!!」
むぎゅっと強く抱きしめられると蓮は気付かれないように溜息を吐いた。
…拗ねだすと純吾は面倒なんだよ。
こうなると自分が折れるしかないのだ。
「…お前、剣道部はいいのかよ。」
「今日は休みだも~ん。」
そう言ってにっこり笑った純吾に、本日何回目かわからない溜息がこぼれる。
…ったく、確信犯かよ。
そうして無理矢理、蓮の放課後の予定が決まってしまったのだ。
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