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「おい、もう許してやれよ。」
蓮がそう言うとゆっくりとチンピラ二人が振り返った。
メンチを切るような素振りで蓮に視線を送る。
…面倒くさ。
その面倒事に首を突っ込んだのは自分ではあるが、こんな風に弱い奴を苛めているのを放っておける質ではない。
その為に、首を突っ込んでおいて後悔することが多いのだ。
平凡を愛するが故、面倒事は本当に勘弁なのである。
「何だテメェは。他人は引っ込んでろよ!」
「何回も謝ってんだろ。大人として恥ずかしくねぇのかよ。」
「何だとコラ!黙ってりゃいい気になりやがって―…」
蓮に詰め寄ってくるチンピラを兄貴と呼ばれていたもう一人のチンピラが制止をかけた。
兄貴には逆らえないのか、素直に蓮から離れる。
「…あのね、俺たちは客なの。もてなされる覚えはあっても、飲み物ぶっかけられる覚えはねぇんだよ!」
兄貴ならもっとまともな事を言ってくれるだろうと思った俺がバカだった。
…こいつら、本当どうしようもないな。
哀れすぎて、かける言葉も見つからない。
「あれ、君よーく見たら綺麗な顔してんねぇ。じゃ、君が責任とってくれる?身体で。なんてな!!」
「ハハハッ!兄貴、男でもイケるんすか?」
チンピラ共の笑い声が店内に響いた。
汚らしいその笑い声が蓮の感情を刺激する。
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