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オーナーはその切れ長な目で、チンピラ共を睨みつけた。
その動作だけでビクッと肩を揺らして怯える。
「…確かにこちらのウェイターが粗相を致しました事は謝ります。…本当に申し訳ございません。」
丁寧に深々と頭を下げるオーナーを横目で見た。
…こんな奴らに謝る事なんて、ないのに。
「…しかし、必要以上に騒ぎ立てる事は他のお客様に迷惑がかかります。ここは皆様に安らいで頂く場所です。」
「おい…待てよ…っ俺たちは…」
「精算は結構です。早急にお帰りください。」
圧力のあるオーナーの言葉にチンピラ共は、逃げるように店を出ていった。
逃げ様と言ったら無様で笑えてくるほどだ。
清々しさに俺は思わず笑みがこぼれる。
しかし、さっきの雰囲気を引きずったまま、沈黙が続く店内。
「―…あー…。」
さすがに俺も居ずらくなってきた。
考えてみれば、俺だって騒ぎ起こした側、だからな。
俺が苦笑いをして頭を掻いた、その時。
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