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足を川の水へと入れてみる。
ひんやりとした感覚が気持ちよく、更に川の中へと入る。
水位は腰の辺りだった。
両親が私によく話していた。
「アイリは橋の下に捨てられていたんだよ」
頭の中で何度も何度も繰り返される。
私は水の中をどんどん歩いた…まるで、何かに引き込まれるかのように…。
「アイリちゃああん!!」
かすかにまきちゃんの声が聞こえた。
――ハッとした。
水位はもう首の上まできていた。
「アイリちゃー…うわわわぁぁん!」
まきちゃんが泣きながら呼んでいる。
―戻らなきゃ。
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