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徳子が居なくなったのを確認すると土井は話を始めた。
「要は大野がマリアちゃんに告白して、振られちゃたってこと。」
「告白?」
「マリアちゃん、好きです。付き合って下さい。…だろ?」
「ああ……。嫁取りか…。」
「嫁…?」
土井がキョトンとした目を向けた。
「いや…流せ。何で私が執拗にあの男につけまわされてるのじゃ?」
「そこだよ。実はそのマリアちゃんがヒデの事が好きだと大野に言ったらしい。」
「はぁ?」
突然の話に変な声を上げた。
「覚えてない?今年の春頃、アキバでパソコンを選んでやったんじゃないの?」
「誰の?」
「マリアちゃんのだよ。一緒に食事して帰ってきたんじゃないの?本人が言ってるみたいだよ。」
「初耳だな。」
「俺もだよ!!何で黙ってたのよ。」
土井がベッドに上がって顔を突き合わせた。
「近い…話をそらすな。」
「怒った大野が二週間前にヒデを呼び出して、ボコボコにするって大騒ぎ。何考えてるか分からないひょろひょろのヒデなんか一発だぜ。と、言ってたよね。覚えてないの?」
土井が顔を寄せて
「ケンカに勝っちゃったんだよね。」
と、私を指した。
「ふ~ん。面倒だな。」
「マリアちゃん、本当はどう思ってるか分からないけど。」
「本当に面倒だ。」
「今度、訊いてみる?」
「要らぬは…。」
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