替わった男

7/9
前へ
/31ページ
次へ
徳子が居なくなったのを確認すると土井は話を始めた。 「要は大野がマリアちゃんに告白して、振られちゃたってこと。」 「告白?」 「マリアちゃん、好きです。付き合って下さい。…だろ?」 「ああ……。嫁取りか…。」 「嫁…?」 土井がキョトンとした目を向けた。 「いや…流せ。何で私が執拗にあの男につけまわされてるのじゃ?」 「そこだよ。実はそのマリアちゃんがヒデの事が好きだと大野に言ったらしい。」 「はぁ?」 突然の話に変な声を上げた。 「覚えてない?今年の春頃、アキバでパソコンを選んでやったんじゃないの?」 「誰の?」 「マリアちゃんのだよ。一緒に食事して帰ってきたんじゃないの?本人が言ってるみたいだよ。」 「初耳だな。」 「俺もだよ!!何で黙ってたのよ。」 土井がベッドに上がって顔を突き合わせた。 「近い…話をそらすな。」 「怒った大野が二週間前にヒデを呼び出して、ボコボコにするって大騒ぎ。何考えてるか分からないひょろひょろのヒデなんか一発だぜ。と、言ってたよね。覚えてないの?」 土井が顔を寄せて 「ケンカに勝っちゃったんだよね。」 と、私を指した。 「ふ~ん。面倒だな。」 「マリアちゃん、本当はどう思ってるか分からないけど。」 「本当に面倒だ。」 「今度、訊いてみる?」 「要らぬは…。」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加