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親父が帰宅すると早速自室に呼び入れた。
「親父どの。ひとつ思い出した事がある。」
「何ですか?」
親父はいつもの様にニコニコ笑っていた。
「慶長だ。私が居たところだ。」
「それはまた古い。戦国時代ですか?」
「戦国だが知らぬが太閤様に会った様な気がする。テレビと言うこの中で話していた。」
「そう言えば、ニュースになってましたね。」
親父は嬉しそうにまた笑った。
「私は徳川のものか?徳子どのも土井もこれを見て騒いでおった。」
親父に扇子の家紋を見せた。
「これだけでは徳川家とは限りません。そちらから頂いた物なのかもしれません。」
「そうか。そうだな。名前など似たようなものは沢山おるからな。」
私は力無くベッドに座った。
「まぁ、記憶など後からついてきます。どうです。いっそ平成の世の中を楽しんでみたら如何ですか。」
親父が隣りに座った。
「そうか。そうだな。」
「髪型、似合ってますよ。」
「徳子どのが…。」
何故だか急に恥ずかしくなった。
「風呂に入れば良い案も浮かびますよ。」
「そうか。」
「髪はちゃんと洗髪して下さいね。そのままはダメですよ。」
親父はひっつめ頭を指した。
「分かった。」
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