分かる男

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「オレンジジュースです。」 完全に固まっている。 「ヒデ、大丈夫か?」 土井が話しかけてきたが顔が引きつって思うように口がきけない。 「何だよ。マリアちゃん来たからって、ドキドキしてんじゃないよ。」 土井がそう囁いてケラケラ笑った。 「……。」 「まじ、フリーズし過ぎだよ。食事した事あるんでしょ。」 「……。」 私は首を傾げた。 私の姿を見かねた土井は、 「休憩に入ったら。」 と、言った。 縦に首を振ると急いでトイレに向かった。 メイドの格好で男子トイレの個室に駆け込み、便器の前に立ってる人から悲鳴が出た。 「はあ~。朝から我慢してた。」 マリアに会った事もだが、生理現象が私を固まらせていた。 私は用を済ませ個室から出るとちょうど大野たちが入って来た。 「あっ、いいところで合ったは、ヒデちゃん。」 トイレの隅へ囲まれた。 「夏休みに入る前に決着をつけようじゃないの。」 「……。」 「チャラチャラ、ニヤニヤして。お前みたいなヒョロちゃんがウロウロしてると目障りなんだよ。しかも、マリアちゃんに顔が近い!!」 大野はただの難癖をつけた。 「……。」 「お前を潰さないと気が済まないんだよ。文化祭最後のパーティー前に体育館脇で待ってるぜ。」 大野が手を振り下ろして来た。 瞬時に受け止めて、 「分かった。」 と、大野の手を振り払った。 「このや…!!」 「手を洗うの忘れてたぞ。」 私はトイレの洗い場で、ゆっくりと手を洗った。 「きっ、汚ねーだろ。」 大野は掴まれた手を急いで洗った。 「ではな。」 大野たちに一礼して教室へ戻った。
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