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私は教室へ戻ると、マリアが昨日来ていた女子高生とたこ焼きを食べていた。
マリアの友達は、私を見て軽く会釈した。
私もコクリと頭を下げた。
「速かったね。」
土井が驚いた顔で言った。
「この格好じゃ、トイレしか行けぬだろ。」
そのまま、ベランダに出た。
焼き損じたたこ焼きやワッフルが皿に盛られていた。
割り箸でたこ焼きを二つ摘まんで口に入れた。
「…。」
そこにどかっと胡座をかいた。
「美味いか?」
エプロン姿の土井がしゃがみ込んだ。
「おいひい。」
口をもごもごしながら
「あとふたつ…くれ。」
と、私は言った。
土井は私から割り箸を取り上げて、たこ焼きを二つ摘まんだ。
そのたこ焼きは土井の口に運ばれた。
「本当だ、美味い。」
「おい!!どっ…!!」
たこ焼きを二つ口に突っ込まれた。
「☆#£*…!!」
「よしよし、うまいか。」
私の頭を撫でて、彼は楽しそうに笑っていた。
私は土井の首を抱え込み自分の方へ引き寄せた。
土井は私に抱きつくように顔を寄せた。
「大野からケンカの申し出があった。ひとりで行く。ついてくるでないぞ。」
「ええっ。」
土井は驚いて顔を上げようとしたが、私の腕で動けない。
「よいなっ!!」
「ヒデ…。」
暫くして、土井は軽く頷いた。
よしよしと土井の背中を撫でた。
その時、携帯で写真を撮る音が連打で聞こえた。
私が顔を上げると女子高生が数人携帯をこちらに向けている。
キャーとかよしっ!とかの声が聞こえた。
メイドに化けた男とエプロン姿の男が抱き合っていたのだ。
面白いに違いない。
「よく分からぬが楽しそうだ。」
その場から立ち上がりメイドの仕事についた。
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