分かる男

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「気持ち悪いな。言いたい事があればはっきり言った方がよいぞ。」 「……。」 「私も幼き頃何も言わず黙っていた。そんな時、自分の意見ははっきりと言うべきです。と言うてきた方がいた。最後に訊けぬなら一緒に行きましょう。と堂々と私に向かってきたのだ。」 「強いか、お節介か。」 榊原はくすりと笑った。 「大野との喧嘩も初めは負ける気で行った。その時、思い出したのだ。倒れるまでやりましょう。それが喧嘩です。」 「退くな…そこまで言われると…。」 「何でも真っ直ぐなお方だ。声も大きいし…。」 私は思い出し笑いをした。 「まさか…。徳子さんじゃないよね。」 「徳子…?」 私は突然の言葉に爆笑してしまった。 「そうか…。そうだったのか。」 ずうっと徳子は誰かに似てると思っていた。 「すまん。笑いすぎた。…言いかけた事はなんだ。」 「俺の事はいいよ。」 「徳子に訊いてこようか?」 「はぁ?」 榊原の顔が真っ赤に染まった。 「当たりか。」 「引っ掛けたのか!?」 榊原が赤い顔を歪ませた。 「訊くか?」 「自分で言う。絶対に黙ってろよ。」 「分かった。」 私は榊原を後目に徳子と土井を二階から呼んだ。 「今日は榊原くんも一緒に帰るよ。」 「もうちょっと遊ばせて。」 土井のアホ面が叫んだ。 「帰る。」 「ウソっ!!」 土井の雄叫びが聞こえた。 榊原が爆笑した。
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