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「か~っ!三時間は辛かったな…」
土井が凄い勢いで伸びをした。
「……。帰るぞ。」
私は席を立った。
少し高校生とやらに慣れてきた。
平成とは意外に面白い場所だ。
危険性は極めて少ない。
駆け引きも別に要らない。
「待ってよ、ヒデ。」
土井が校庭に駆け出してきた。
それを見つけた徳子も飛び出してきた。
「朝と一緒だな…。」
私がくすりと笑うと
「ちゃんと笑えるじゃん。」
と、徳子が言った。
「そうか。」
「殿様か?」
徳子がケラケラと笑った。
正門を抜けるとあのデカい男大野が待っていた。
「さてと、ヒデちゃんに顔貸して貰おうかな。」
大野の脇に二人男が付いていた。
大、中、小と横並びだった。
その光景が面白くてつい吹き出してしまった。
「何を笑ってる。」
ゆっくりと近づいて来る。
「二人とも聞け。」
「えっ?」
「口を動かすな。
よいか、私が大野の脇狙うからその間に一気に逃げるぞ。」
大野が向かって来た瞬間、鞄から扇子を出して横っ腹を思いっきり叩いた。
大野と重なる時に扇の要で鳩尾をついた。
「あっ…」と言うと大野はそこにうずくまった。
私と土井と徳子は、後ろも見ずに一気に走った。
そして、街中の賑わいに紛れ込んだ。
「あっ、マック。マック行こう。」
土井はハアハアと肩で息をしながら言った。
「もう、この暑いのに走りたくない。」
徳子の顔が怒っている。
土井と徳子に手を引かれて「マック」と言う店に入った。
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