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時は3011年
かつての姿を取り戻した日本は和服が義務化され、銃刀法に反して刀を下げる若者で溢れていた。
東京駅・渋谷のスーパーハチ公前。
ここに二人の若者がいた。
「あー…暇やわ、リュウ」
このチャラチャラした男の名はゲンジ。両腕に和彫りを入れ、髪は金髪で長めのオールバック。いかにも女慣れしていそうな風貌で、いかにも悪そうな男。
「…知るかよ」
チャラ男にあっさり返事をしたのはリュウと呼ばれた短髪の男。こちらはゲンジほどチャラチャラではないが常に黒い和服を来ていて、目付きが鋭く、脇差しを常に差している。
ゲンジは行き交う人々をじっと見ていた。
「なー、リュウちゃん…俺らが生まれる前ってな。和服やなかったんやで」
「…は?何言い出すのお前?」
「いや、昔は洋服みたいな格好で女子がよう露出してたらしいやん。夏なんて特に下着みたいな服が当たり前やったって教科書に書いとったで」
「…お前そんなチンピラみたいなナリして教科書とか見んの?」
「失礼やな!!俺かて教科書くらい開くわ!!…なんか今の女子って和服で肌隠れててあんまムラムラせんな…」
リュウはゲンジを冷ややかな目で見ている。
「…お前なんで今日俺を呼び出したんだよ」
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