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うりふたつの人物…?
にしてはおかしい。
だって…そのままなのだから。
うりふたつでもどこかしら違うような部分はあるはず。しかし、この2人には全くそのような雰囲気は無い。まさにそのものなのだ。
夢でも見ているのだろうか…?レッジとシルフィーが生きていた。
いや…おかしい。何かがおかしい。レッジとシルフィーそのものというのは間違いない。偽物では無い。
でもありえないのだ。
俺達は確かにレッジとシルフィーの最期を見たのだから…。こんな事あるわけが…。
嬉しい筈なのに、誰もが恐怖で動けない。
ある1人を除いて。
「レッジ君…シルフィーちゃん…。良かった…。」
途轍もなく嫌な予感がする。
近づいてはならない。
俺の本能がそう告げた。他のみんなが動けないのもそれが理由だろう。
だから俺は本能的に叫んでいた。
「シエナ!!そいつらに近づいてはダメだ!!」
危ない…。途轍もなく危ない…。
しかし、シエナは完全に冷静さを無くしていた。
「どうして!?目の前に死んだと思っていた2人が居るんですよ!?」
確かにそれなら大変喜ばしい。そうだったらどれだけ平和だったか。
レッジとシルフィーは何も語らない。一言も発していない。
表情が冷たい…。あんな冷酷な表情は見た事が無い…。レッジとシルフィーはあんな顔は決してしない。
何なんだ…この汗は…。今すぐにでもこの場を逃げ出したい。
あまりの緊張の為か喉がカラカラになる。身体は硬直していた。
「お前らは…一体?」
意を決して2人に呼びかけてみた。
2人はさっきの冷酷な表情を変えずにこちらを向いた。
「……。」
何も語らない。
その目でしっかりと見られるとまるで金縛りにあったかのように全身が動かなくなるような気分になる。
「レッジとシルフィー…なのか?」
改めて確認を取る。この一言を発するだけでも異様に重い。口を動かすだけで精一杯だった。
「ウェイン君…?どうしたの?紛れもなくレッジ君とシルフィーちゃんじゃない。」
答えたのはシエナ。確かに間違いは無い。だけど違和感がある。レッジとシルフィーだがレッジとシルフィーじゃない。
その刹那だった。
風がふいたような一瞬の出来事。
ザシュッ!!
その音が響いた時には、
俺だけで無くみんなが膝からガックリと床に崩れ落ちた。
一体…何が…。
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